海紡ぐ螺旋 空の回廊

Monday, April 17, 2006
[books&magazine]

 高里椎奈さんの「海紡ぐ螺旋 空の回廊 薬屋探偵妖綺談」を読みました。ただの第一部完なのか、第二部は永遠に開始される予定がないのか、気になるところです。

 このシリーズのミステリ的な部分にはほとんど興味がないので、作中で語られる3つの事件についてはさらっと流しました。登場人物もメイン以外は記憶が曖昧で、第一部のトリということでオールキャスト気味だったのに、誰だっけ・・・とはてなマークが頭の中を飛び交っていました。我ながら、いい読者ではなかったです。個人的に一番の関心事だった秋の過去は、わかったような、わからないような。予想はついていたけれど、意外性がないということは伏線がきちんと張られていたということでもあるのだと思います。

 あとがきを読むかぎり、もしあるのであれば、レーベルを移動した方が作者にとっても物語にとっても幸せな気がします。「ミステリ」というジャンルに縛られないで、のびのびと書きたいようにミステリと日常を書くのがいいのではないかなと思います。「銀の檻を溶かして」を手に取った理由も覚えていないし、決していい読者ではなかったけれど、第一部完、お疲れ様でした。

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重力ピエロ

Thursday, April 13, 2006
[books&magazine]

amazon:重力ピエロ 伊坂幸太郎さんの「重力ピエロ」を読みました。結論からいうと、「アヒルと鴨のコインロッカー」の方が好みでした。

 ミステリとしての弱さも、苦味も、読後の爽快感もあいかわらず。重たいテーマを孕んだ内容を軽やかに書き上げるテクニックは、センスがいいとしか言いようがないです。結末は、現実にはあってはならないことだけれど、心情としては積極的に許容したいです。それは、リアリティに欠けているということではなくて、常識やルールに縛られないフィクションの中でのリアリティに挑戦しているということなのだと思います。想像力は現実に押し潰されなければならないという道理はないのだから、人の感情にさえ嘘がなければ私は満足です。

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2006年3月終了番組感想

Saturday, April 8, 2006
[movie]

 今更感漂いますが、雑感を。放送話数の半分以上を観たのは、「アンフェア」「蟲師」「よみがえる空 -RESCUE WINGS-」の3本です。

アンフェア

 3話から7話くらいまでがすっぽり抜けています。番宣CMに惹かれて観始めたのですが、はやい段階で私の好きではないトリック>人の感情のタイプのミステリだと気づきました。大胆なトリックのために登場人物の行動原理を捻じ曲げてしまう手腕が、好きではありませんでした。それと、最終回は15分拡大するよりも時間内で収めた方がすっきりまとまったと思います。最終回のエンドロールで、本編では一切出てこなかった黒幕が人を殺しているシーンを流すという演出はおもしろかったです。

蟲師

 私にとっては映像美と音を楽しむ作品でした。「緑の座」の筆で書かれた文字がひらひらと動き出すシーン、「籠のなか」の竹やぶの様子、「春と嘯く」のまがい物の春の情景と、目を閉じたときに見える暗闇の中で万華鏡のように煌めくひかりの光景、そして「筆の海」での文字列が蠢きだすシーンなんかが特に印象に残っています。制作側の原作への思いいれが伝わってくる、原作付きの映像化の一つの完成形でした。地上波で最終回まで放送されないというのは残念ですが、1話完結型なのでそれほど気になりません。とはいえ、放送するからにはきちんと最終回まで放送してほしいです。

よみがえる空 -RESCUE WINGS-

 これは途中から観始めたのですが、とても良質で徹底して真面目な作品でした。航空自衛隊の救難隊という、なかなか焦点の当たらないところに焦点を当てた職業ドラマ。特に第4エピソード「Bright Side of Life」前・後編の構成が秀逸で、見終わった後1週間くらい「ひょっこりひょうたん島」の歌が頭から離れませんでした。シリーズを通して主人公には大きな活躍がないのですが、そのことに不満はなく、それこそがこの作品の醍醐味でした。全然活躍しないけれど、ちゃんと成長しているんです。

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ブロークバック・マウンテン

Sunday, March 26, 2006
[movie]

 映画「ブロークバック・マウンテン」を観てきました。

 1960年代にカウボーイとして生きる2人の青年。羊番の仕事で昼夜をともにするうちに、身体の関係を持つようになる。その後2人は別の道を歩み、結婚し子どもも生まれたが、ブロークバック・マウンテンでの日々を忘れることはできなかった。

 あらすじだけが先行している感がありますが、盛り上げることも可能なのに抑えに抑えた演出と、抑えきれなかった哀しみの表現が印象的でした。反面、カット数が少し多すぎるように思いました。もう少し1シーンをじっくりと見たかったです。

 流され流されていく主人公たちは格好よくはないし、周囲をも巻き込んで不幸にしていくけれど、もしも彼らが自分の感情に素直だったとしても、決して幸せにはなれなかったと思います。時代がそれを許さない。

 まだうまく消化できていなくて、もやもやしたものが残っています。涙はこぼれなかったけれど、こぼれることのなかった涙が体内で凝っているような感覚。

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彩雲国物語 光降る碧の大地

Sunday, March 26, 2006
[books&magazine]

 「彩雲国物語 光降る碧の大地」を読みました。夜半に読み始めたら止まらなくなってそのまま読み進め、最後でずっこけました。命の重さについて語り盛り上げた最後に、それはないだろうと。らしいといえば非常にらしい展開ではありますが。

 これでシリーズの積読分と思ったら、今月末にまた新刊が出るのですね・・・。約半年で文庫書き下ろし3冊+雑誌掲載分の短編というハイペースぶり。「そのときその瞬間にしか書けないもの」というのはたしかにあると思うから、早いペースを一概に悪くいうことはできないのですが、文章や描写が粗くなっている感は否めません。

 この巻でも世界観の設定の甘さは顕著で、困ったときの仙人頼みにもそろそろ限界があるのではないかと思います。死人さえ蘇らせてしまえるほど彼らの秘術やら仙術やらには制約がなく、彼らが出し惜しみしなければどんな問題でも万事解決できてしまうのではと感じてしまうくらい。仙人たちが人の世界に干渉しないつもりならそれを貫き通してほしいし、手助けするのだったらその信念を曲げる必然性がほしいです。

 また、その巻その巻で伝えたいテーマというのは直接すぎるほど直接的に記されているので単純明快ですが、反対にシリーズ全体として何が描きたいのかが段々とわからなくなってきました。当初の思惑以上に物語がひろがってしまったのであれば、一度休んで態勢を立て直すというのもありではないかなと思います。

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しょーがないとか悪気がなかったとか そんなんで許されることなんて本当はいっこもないよ
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