ユージニア
Saturday, July 30, 2005
[novel, 恩田陸]
恩田陸さんの「ユージニア」を読みました。名家と美少女という、恩田さんらしいモチーフ。美女ではなく、美少年でもなく、美少女。
名家の祝いの席でおきた毒物混入事件。凄惨な現場に残された謎の詩。実行犯の自殺というあっけなくも曖昧な幕引。時を経て記憶の底に埋もれた連続殺人事件を、関係者がさまざまな視点から語りだす。
恩田陸さんを知らない方でミステリ好きな方は「なんだこれ」、ファンなら「恩田陸らしい」となりそうな読後感。すっきりしないというか、余韻が残るというか。そのあたりが直木賞落選の理由かなと思います。
事実はある方向から見た主観に過ぎない。だから、関係者の言葉はすこしずつ食い違っています。真相に迫ったかと思うと、とたんに突き放される。その間に、読んでいる私の想像はどんどん膨らんでしまいます。あたかも、ドラマティックでなければ真実とは認められないというように。
装丁が繊細でとても美しいです。使用されているフォントも美しいし、本文がほんの少し斜めに印刷されているのも効果的。文庫では表現できない、単行本ならではの美しさ。