からくりからくさ
Friday, September 2, 2005
[novel, 梨木香歩]
梨木香歩さんの「からくりからくさ」を読みました。淡々と穏やかなお話を想像していたので意外な展開でした。
祖母の遺した、野草の生い茂る家で共同生活をはじめた蓉子、紀久、与希子、マーガレット、そして人形のりかさん。人と人との関わりあいの中で、自分のルーツやアイデンティティを求めていく。
予想外に人間関係が複雑だったので、次に読むときは相関図を書きながら読んでみようと思います。穏やかな日常の描写が多く、野草の苦味や機を織る音、染色の工程などの細やかな描写はエッセイ的でもあり、ある種の憧れを感じさせるものでもありました。
同居人が各々の過去を紐解いていくことで関連性を見出していくのですが、謎解きが肝ではないのでここは複雑にしなくても物語は充分に成立したように思います。間をあけて読んだこともあってちょっと混乱しました。ああでも、合理的とは言えない穏やかで緩やかな共同生活を軸にしたこのお話には、必ずしも必要とは思えないエピソードも必要なのかもしれない。女の業に踏み込みつつも、生々し過ぎないのが救いでした。視点がふらふらしていて少し読みにくくもありましたが、それもまたこのお話の魅力なのだと思います。