夏目友人帳 1
Thursday, October 6, 2005
[comic, 緑川ゆき]
緑川ゆきさんの新作。オビに「感涙のあやかし譚」とあるけれど、泣けるだけがうりではないので、この宣伝文句にはちょっと不満があります。
夏目は、他の人には見ることのできない存在を見てしまう少年。祖母のレイコの遺品である妖怪たちとの契約書「友人帳」を手にして以来、レイコにいじめられ名前を奪われた妖怪たちから「名前を返せ」と追われる日々が続く。
主人公の名前に夏がついているからではないけれど、ずっと夏っぽさが漂っていると感じました。生い茂る植物とか、コントラストの強い影とか。あいかわらず描線が不安定だけれど、その不安定さがこの方の描くお話にはあっていると思います。
読みきり連載もので、一人もしくは複数の妖怪が夏目の元を訪れて名前を返してもらう(=契約を破棄する)というのが基本のフォーマット。大妖怪(多分)なのにしっかり情をうつしているニャンコ先生がいい味を出している。妖の怖さややさしさ、それから儚さが丁寧に丁寧に描かれていて、必ずしもハッピーエンドではなくても、後味のいい読後感。本当に嫌な奴が登場しないというのは欠点でもあるけれども、それが救いでもある。
多作な方ではないけれど、自分の描きたいと思っているものをじっくりと描いてほしいです。コミックスを購入するくらいしか、応援する術はありませんが。
話が大きくずれますが、1/4スペースやあとがきにたびたび登場するお姉さまは、もう小説は書かないのかしらとずっと気になっています。